2024年4月適用!ついに建設業でも時間外労働の上限規制が適用に

2024年4月適用!ついに建設業でも時間外労働の上限規制が適用に

2023年1月12日

来年の4月から、他業種ではすでに導入されていた時間外労働の上限規制が建設業でも適用されます。
罰則付きの規制であるため、今のうちから労働環境を整備し、適用開始になる頃にはスムーズに対応ができるように準備をすすめておきましょう。

今回は、時間外労働の上限規則によって何が変わるのか、そのためにどのような準備が必要なのかを解説していきます。

 

時間外労働規制と建設業の猶予期間

 

労働基準法では、従業員の労働時間と休日について「労働時間は1日8時間・1週40時間まで」「休日は毎週少なくとも1回」と定められています。
これを超えて労働をさせるには、労働基準法第36条に定められた労使協定(36協定)を締結し、管轄の労働基準監督署へ届け出なければいけません。

 

労働基準法の改正によって、大企業は2019年の4月、中小企業では2020年の4月から法定労働時間を超える時間外労働についても上限が定められました。
現在の時間外労働は月に45時間・年間360時間までと定められています。

 

建設業界をはじめとした一部の業界はこの上限制度について5年間の猶予が設けられました。
建設業界は、現場における長時間労働が常態化しやすい環境があります。
天候に左右されやすい建設現場では、いつも予定通りに工程が進むとは限りません。
そのため、上限規制に基づく労働時間の管理がなされると、納期や完成時期を守ることが難しいと考えられるためです。

こういった特性のために建設業界は2024年4月から規制が開始されることとなりました。

 

建設業でも上限規制は適用される

 

猶予があったとはいえ、建設業も他業種と同じように時間外労働は原則として月45時間の年間360時間までとなりますが、
「臨時的な特別の事情がある場合は、特別条項付きの36協定を結んでおくことで、上限を超えて労働させることができる」とされています。
この特別条項付き36協定にも上限が設けられているので注意が必要です。

 

【特別条項付き36協定締結での時間外労働の上限】

・時間外労働が年720時間以内であること

・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満であること

・時間外労働と休日労働の合計について「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」のすべてが1カ月当たり80時間以内であること

(2〜6カ月は、どの期間をとっても1カ月平均80時間以内となるように時間管理を行うことが重要です)

・時間外労働が月45時間を超えるのは年6回までとすること

 

これに加え、建設業では災害復旧や復興事業に従事する場合に、上限が変更される例外規定があります。
こちらが適用になる場合は、時間外労働と休日労働の合計について「月100時間未満」「2〜6カ月平均80時間以内」の適用外となります。

 

【災害復旧や復興事業に従事する際の例外】

・時間外労働が年720時間以内

・時間外労働が月45時間を超過するのは、年6回まで

 

罰則規定と適用までい行う準備

 

従業員に上限を超えて労働を強いた場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
では、規制適用開始までに、各企業はどのような準備をしていけばよいのでしょうか。

 

①労働時間を把握する仕組みづくり

建設業では、コントロールできない天候や災害に加え、納期があるために労働時間が長時間化しやすい傾向にあります。
まずは現状の就業状況を正しく把握しなくてはいけません。

 

企業規模の大小にかかわらず、勤怠管理システムを導入するよう検討しましょう。
建設業では、従業員は現場に直行・直帰することも多いため、始業・就業・残業・休憩と時間の把握が難しいとされていました。
しかし、近年ではスマホやネットワーク環境の普及も進み、必ずしも自己申告でなければ管理ができないとまでは言えなくなってきました。
(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」より)携帯端末を活用するなど、
従業員が活用しやすいシステムを導入し、労働時間を把握するための環境を整えましょう。

 

②休日・休暇の確保

働き方改革の推進によって、建設業界でも週休2日の導入がすすめられています。
今現在、建設業に週休2日を設ける法的な定めは存在しませんが、
長時間労働になりがちな建設業界で労働時間の上限規制に備えるには、休日や休暇の確保は欠かせません。

労働時間を増やすのではなく、労働者が働きやすい環境を整備することで、人材の定着や新しい働き手の獲得につなげることが重要です。

 

③36協定届の新様式への対応

今回の改正によって36協定届の様式が新しくなります。
新しい36協定では、災害復旧や復興事業に従事する際の例外についての項目が設けられています。

社内の環境整備と並行して、新様式の書き方や注意点についても確認しておきましょう。

 

時間外労働の上限規制の適用に向けて、建設業者にはさまざまな社内整備が求められます。

いずれも軌道にのせるまでには時間のかかる改革となるので、計画的に整備・変更を進めていきましょう。

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