介護スタッフのモチベーションを維持・向上させるには?
2022年12月15日
介護業界では深刻な人材不足が問題となっています。
さらに、長引く新型コロナウイルス感染症による利用者の減少や物価の向上などの外的要因が重なり、
事業の継続が困難になっている事業所が増加しています。
このような状況下で、事業を継続させていくための対策として、スタッフのモチベーション維持と向上が挙げられます。
そこで今回は、介護施設におけるスタッフのモチベーション維持や向上のためにどのような工夫が必要かを紹介していきます。
介護業界の現状
2022年10月7日に公開された東京商工リサーチ『老人福祉・介護事業』の倒産件数(1-9月)の推移によれば、
2022年1月〜9月(負債1,000万円以上)の老人福祉・介護事業の倒産件数は100件でした。
前年は51件であり、2倍ほどに急増しているのがわかります。
そして現在の状況が長引けば2022年の倒産件数は年間倒産件数の過去最多を更新する可能性が高いともいわれています。
現在の事業を継続させていくには、今すでに働いている介護スタッフの雇用定着率を高め、
そして今まで以上に個々の介護スタッフの能力発揮を促して、より生産性の高い仕事を行ってもらうことが重要になってきます。
そのための対策の一つとして、モチベーションの維持と向上が挙げられるのです。
ここでのモチベーションは動機づけという意味で用いられ、仕事に対する意欲ややる気へとつながる動機づけが重要視されています。
ハーズバーグの二要因理論から見る動機づけ
介護スタッフのモチベーションを維持・向上させるためにはいったい何が必要なのでしょう。
20世紀、アメリカの臨床心理学社であるフレデリック・ハーズバーグは、
仕事の生産効率を高める過程で満足する要因(動機づけ要因)と、
不満をもたらす要因(衛生要因)の2つがあることを明確に提言しました。
これを『ハーズバーグの二要因理論』といいます。
具体的には、動機づけ要因として成功や承認・仕事内容や仕事へのやりがいが挙げられ、
衛生要因として上司や同僚との信頼関係・職場環境・労働条件が挙げられます。
そして、動機づけ要因はモチベーションを向上、衛生要因はモチベーションを低下させる要因になると説明しています。
また、この2つの要因は互いを補完し合う関係であるために、
一方のみではなく両方を満たすことでモチベーションの維持と向上をはかることができるとされています。
介護スタッフのモチベーション維持・向上のために
上で紹介した理論を介護業界に当てはめてみると、具体的には以下のようなアクションが有効といえます。
【動機づけ要因】
・個々のスタッフの目標を明確に設定し、達成度の確認を行うこと
・仕事の責任と権限を与え、役割や貢献度による評価を明確に提示すること
・利用者や家族からの感謝の言葉を伝えること
【衛生要因】
・チーム編成、配属などを適材適所に行うこと
・セミナーや研修会への参加など、スキルアップできる教育機会を与えること
・日常的にスタッフとのコミュニケーションをとり、現場の不満要素改善に努めること
・給与アップや福利厚生を充実させること
一見すると衛生要因の改善は重要度が高いようにも思えますが、
2つの要因が組み合わさってこそ効果が期待できるということを忘れずに、一時的な改善にならないよう注意しましょう。
つまり、介護スタッフのモチベーションを維持・向上させるためには、
衛生要因の改善を定期的に図るとともに、動機づけ要因を明確にし、どのようにスタッフへ指示していくかが重要なのです。
モチベーションの維持・向上をさせることは、非常に難しい課題といえます。
しかし、モチベーションは雇用の定着率、事業の成果、顧客満足度アップ 、事故の防止など業務においてさまざまな影響を与えます。
自身の事業所にはどのようなモチベーションマネジメントが当てはまるかを、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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