医療過誤は絶対起きない?損害賠償請求に備えよう

医療過誤は絶対起きない?損害賠償請求に備えよう

2022年12月22日

医師が注意していれば防ぐことができた過失による医療ミスのことを【医療過誤】といいます。
歯科医院の例では、抜歯中に神経を傷つけてしまったり、抜歯の必要が無い歯まで抜いてしまったりというような医療過誤が起きています。

 

そして歯科医療中の医療過誤によって患者に損害を与えた場合には、その患者に対して賠償責任を負うこととなります。
人間が治療を行なっている以上、ミスが100%起きないことはあり得ません。
そこで今回は、こうした医療過誤を起こしてしまった場合にどのような対応をとるか、また万が一への備えについて説明していきます。

 

医療過誤に対して歯科医院が負う賠償責任とは

 

治療行為の中で、患者が損害を受けた場合に、
患者は医師に対して民法で定められた債務不履行や不法行為があったとして損害賠償を請求することがあります。

 

ここで少し債務不履行について説明します。民法では、患者が治療に同意した段階で、
歯科医院・歯科医と患者との間で診療契約が結ばれることとなり、視界は患者に適切な治療を施す責任が生じます。
もし仮に、適切な治療が行われなかった場合は、この診療契約が履行されなかったと認識され、不履行となります。

医療過誤が原因で患者の症状を悪化させたり、後遺症が残ってしまったりした場合にも診療契約は履行されていないことになるため、
債務不履行に基づく損害賠償責任を負うこととなります。

 

注意したいのは、歯科医院で雇用している勤務医や歯科助手が医療ミスを起こした場合にも同様にして、
歯科医院は賠償責任を負わなくてはならないということです。

歯科医院というのは、従業員に対する管理監督義務や、使用責任(民法715条)を負っています。
たとえ日頃から適切な指導を行い、従業員を管理していたとしても、
それによって従業員の医療ミスによる賠償責任が無くなるといったことはありません。

 

損害賠償金として請求される金額は、医療過誤の度合いや被害の規模によってさまざまです。
一例を挙げると、歯科矯正治療において患者に治療期間はおよそ1年と説明していたにもかかわらず、
実際には2年にわたり治療が続いたケースでは、裁判所が歯科医院の不法行為責任を認め、
100万円の慰謝料と35万円の弁護士費用の賠償を命じました。

 

万が一の備えとして賠償責任保険を検討しよう

 

連携を強化し、教育を徹底することで医療過誤を防止する取り組みを行うのはとても重要です。
その一方で、万が一が起こってしまった際の備えを考えることも同様に重要です。
歯科医院では、医療過誤に基づく損害賠償金を補償する『歯科医師賠償責任保険』の利用を検討しておきましょう。

 

この歯科医師賠償責任保険は、歯科医師だけでなく、勤務医や歯科助手が医療ミスを起こしてしまった場合にも適用されるのがポイントです。
しかし、ホワイトニングなどの美容を目的とした医療行為に起因する損害賠償や、
個人情報や患者の秘密漏洩に起因する場合などは認められないケースも多いので、保険約款や特別約款をよく確認する必要があります。

 

保険会社から支払われる保険金は、患者へ支払う損害賠償金のほかに、医療事故による損害拡大を防ぐ損害防止費用や、
医療事故が発生した際の緊急措置に要した緊急措置費用、賠償に関する訴訟費用なども含まれます。

 

開業医の場合には歯科医師賠償責任保険の他に、医療施設賠償責任保険もセットで加入しておくと、
医療機器を移動中に患者にぶつけて怪我をさせてしまった場合や、
看板が落下して道路や自動車を破損させてしまったといったような場合にも保険金が支払われるので安心です。

 

歯科医院の経営は、さまざまなリスクがつきものです。今回ご紹介した歯科医師賠償責任保険や、
医療施設賠償責任保険は、一般的な保険と比較すると取り扱っている保険会社や代理店は少ないですが、
個人や歯科医院の他に歯科医師会を通じて加入することも可能です。
“もしも”のときに備えて、こういった保険も検討してみてはいかがでしょうか。

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