これはどっち?『労働時間となる・ならない教育訓練』

これはどっち?『労働時間となる・ならない教育訓練』

2022年1月6日

介護業界の大きな課題に『人材不足』が挙げられます。
この課題を解消するには従業員の離職予防と定着率向上をはかる必要があります。

この場合、研修や教育訓練といった『人材育成』に力を入れ取り組むことが効果的な改善策の1つです。
しかし、職員によっては「拘束される時間が増えた」と感じ逆効果になってしまうことも。

ひとことに研修や教育訓練といっても内容はさまざまで、
労働時間に含まれるものとそうでないものも混在しています。

今回は、人材育成における労働時間の捉え方について説明します。

これは労働時間になる?3つの事例

就業時間の中で行われるOJTに費やされた時間は、
もちろん労働時間に入ります。
しかし、始業前の朝礼やミーティング・終業後や休日に行われる社外研修・資格取得のために
社内に残って行う勉強などは、各々の業況に応じて適切に対応していかなければいけません。

この対応を間違えてしまうと、従業員からの信用は低下し、
結果として人材育成のために行ったことが離職や労務トラブルの原因になりかねません。

それではここで、よくある事例を通して対応方法を見ていくこととしましょう。

 

事例1:毎朝、始業前に出社させ朝礼やミーティングを行う

 

このケースでは賃金の支払いが必要です。労働基準法における労働時間とは、
『労働者が使用者の指揮命令化下に置かれている時間』とされています。
時間の長短に関わらず、出社を義務付けている場合、その時間は労働時間となるのです。
そのためこのケースでは、始業開始後に朝礼等を行うか、
該当時間は時間外労働手当を支払う必要があるでしょう。

 

事例2:終業後や休日に外部セミナーや研修に参加

 

このケースではまず、参加が義務付けられているか自由参加なのかによって判断が分かれます。
強制的に義務付けられている場合は、その参加時間は労働時間となり、
終業後や休日に関わらず賃金の支払いが必要です。
さらに、1日8時間・1週間40時間という原則的な法定労働時間を超える場合は
割増賃金の支払いも必要となります。

また、自由参加としていても不参加の場合に不利な人事評価や懲戒処分を科される場合には、
実質強制参加とみなされ賃金の支払いが必要となります。

 

事例3:終業後、施設に残り資格取得や知識を深めるための勉強を行う

 

このケースでは、使用者が指揮命令を行なっていない場合に限り、
自主的に勉強している時間と考えられ、賃金の支払いは不要です。
ただし、勉強をしている合間に利用者のお世話を行ったり、業
務日誌の作成などを行ったりしている場合は要注意です。

事業主がそのことを知って、
あらかじめ業務となることをしないように注意喚起している場合は問題ありませんが、
見て見ぬ振りをしている場合には労働基準法に触れる可能性があります。

 

事業主が気を付けるべきこと

 

施設で常時使用している労働者が10人以上の場合には、就業規則を作成し、
労働基準監督署へ届出を行う義務があります。
その際【始業・終業時間】【時間外労働・休日労働】などについては
明確に定めておかなくてはなりません。

 

介護事業所の多くは、定期的な研修や教育訓練を積極的に実施しています。
これらにかかる時間に対する取り扱いを明確に示し、スタッフにも周知させておかないと、
後々のトラブルになる可能性があります。

人材不足という問題に気をとられがちですが、
今一度、足元の見直しからしてみることが根本的な問題解決につながるのではないでしょうか。

 

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