歯科医院経営を揺るがす『逆ザヤ』問題のポイント

歯科医院経営を揺るがす『逆ザヤ』問題のポイント

2021年12月23日

近年値上がりを続けている銀歯の材料である『金銀パラジウム合金』。
実勢価格が上昇を続けているため2020年から厚生労働省の告示価格の見直し期間が
6ヶ月から3ヶ月に縮まったことでも話題になりました。

 

現在も価格上昇は止まらず、保険償還される価格よりも歯科医療機関の購入金が高くなってしまう『逆ザヤ』問題が
いまだにあるといわれています。今回は値上がりの理由や知っておくべきポイントについて解説します。

 

パラジウムがどうして必要なのか?

 

虫歯を保険治療するのに欠かせないのが銀歯です。この材料にはパラジウム合金が多く使用されています。

 

パラジウムはもともと供給量の少ないレアメタルなので価格が変動しやすく、
厚生労働省が診療報酬の改定時以外にも改定を随時行っていました。

しかし、最近では値上がりが激しく、そして長期にわたるため、
価格改定が間に合っていないのです。結果、保険材料であるにもかかわらず、
歯科医療機関が治療報酬よりも高額な銀歯を持ち出しで購入する自体に陥っています。

 

ではなぜ、パラジウムがここまで高騰してしまったのでしょうか。

歯科でのパラジウムは詰め物やかぶせもの、欠損部分を繋げる用途で使用されますが、
一般的には電子部品や排ガス浄化装置の触媒コンバーターに広く使われているのです。

世界的に排ガスの規制が進むなか、中国などの排出国ではコンバーターの需要が高まり、
パラジウム需要もそれに伴い急拡大しています。金やプラチナよりも高い相場で取引がなされており、
現在も値下がりのめどは立っていません。

 

逆ザヤは何故起こった?

 

厚労省では『随時改定Ⅰ』として4月と10月に現在の告示価格に対して素材の価格が±5%を超えた場合には
価格改定を行います。その3ヶ月後(7・1月)に、改定価格よりさらに±15%を超えた場合には
『随時改定Ⅱ』として再び価格の変更をすることで価格変動に対応しています。

 

ここで重要なのは、15%以上の変動がなければ、値段が上がっていても価格は据え置きのままなのです。
その結果、次の価格改定までの間に逆ザヤが発生するのです。

素材価格の問題は、歯科医院のみならず技工所の経営にも大きな影響を与えます。
歯科医院から仕事を受注するために、
技工所が無理をして単価を下げて仕事を請け負ってしまっている実態があるからです。
また、こうした技工所では長時間労働が常態化している問題もあり、
品質の悪化や海外への技術流出といった弊害が心配されています。

 

 

銀歯を使わない選択もまた・・・

 

銀歯が値上がりしているのなら、セラミックやレジンの歯に変えるという選択肢ももちろんあります。
銀歯を使用しなければ材料費の負担が増えることもなく、
患者にも選択肢が増えるため、経営の安定化とサービスの向上を同時に叶えることが可能です。

 

近年では、治療前にインターネット等で情報を仕入れている患者も多く、
「セラミックはできるか」ときかれることも増えたと聞きます。
セラミックには耐久性の高さはもちろん、
金属アレルギーのリスクがないことや歯が変色しないなどのメリットが
一般にも多く知られるようになったため、診察時に提案することも可能でしょう。

 

しかし、銀歯以外の素材には保険導入があまり進んでおらず、
銀歯を使うことを避けすぎると患者への負担が大きくなってしまいます。

 

そもそもは保険治療で赤字が発生することのほうが不自然ですから、
患者にとっても歯科医院にとっても、逆ザヤ問題の早期解決が最も望ましいといえるでしょう。

 

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