介護業界はサービス残業が起こりやすい?ポイントと改善策

介護業界はサービス残業が起こりやすい?ポイントと改善策

2023年6月8日

介護の業界は慢性的に人手不足が叫ばれています。
対人の仕事であるが故に、イレギュラーが発生することも多く、時間通りに終業できないことも多々あるでしょう。
そのような中で、大量の残業が日常的に行われていたり、残業の賃金が支払われていなかったりはしないでしょうか。

 

特に賃金の支払われない、所謂サービス残業は法律違反です。

今回はこうした残業が発生しないように、サービス残業が発生してしまう背景と、
サービス残業に含まれやすい業務などについて説明していきます。

 

介護業界の4人に1人がサービス残業を行っている現状

 

人の命を預かりながらも、時間に追われて業務を行なっていかなくてはならない介護職は、
身体的にも肉体的にも厳しい職業であるといえます。さらに、少子高齢化に伴って、介護サービスや介護施設の利用者は増える一方です。
そのため介護業界の人手不足はさらに深刻化し、国が未経験者の参入を促す施策を投じていても、なかなか事態は好転しない現状です。

 

2019年に施行された『働き方改革関連法案』によって、2020年に中小企業も時間外労働の上限規制が対象になったことも、
介護業界の人材不足に大きな影響を与えています。人手不足ではあるものの、残業の上限規制がなされてしまっているので、
業務量に対する人員不足が起こっているのです。

 

事業所は人手不足にばかり目が行きがちですが、これに関連して大きな問題になっているのが不払いの時間外労働、
つまりサービス残業の常習化です。全国労働組合総連合が発表した介護労働実態調査報告書(2019年)によると、
施設介護労働者の4人に1人がサービス残業を行っているという調査結果が報告されています。
介護事業者はサービス残業に関して一層の注意を払わなくてはいけません。

 

ひとことにサービス残業といっても、その発生原因は事業所によってさまざまです。
経営者がコスト削減を目的として指示しているもの、労働時間管理に対する法律知識が乏しい、
そもそも時間管理がずさんなどが考えられます。さらに、直接指示されていなくても、
職場の状況的に残らざるを得ず、自主的に無賃金ではたらいてしまっているケースも存在します。

 

大前提としてサービス残業は労働基準法違反であるため、もし行われている現状なのであれば、
従業員の退職によるさらなる人手不足や、労使トラブルになりかねません。

従業員の業務内容や就業時間をよく確認して、サービス残業が発生していないかを確認しましょう。

 

気づいたらサービス残業になっていないか

 

それでは、介護事業所の業務上ではどのようなシーンがサービス残業に陥りやすいのでしょうか。

以下はよくある例の一部です。

 

・業務時間の開始前ではあるが、引き継ぎのために早めに出勤している

・業務時間中は忙しいので終業後に社内研修や勉強会が行われている

・業務終了後にあつまってミーティングを行っている

・訪問介護の居宅間の移動時間が労働時間に含まれていない(自由な補償がない)

・勤務時間外に介護記録の記入や入力作業を行っている

・勤務時間外に利用者やその家族対応が入ってしまっている

・交代勤務後の時間が労働時間として記録されていない

 

まずは、自社がこのような事例に該当していないかを確認するところから始めましょう。
もし、1つでも該当する部分があるのであれば、早急に改善策を講じなくてはなりません。

 

また、上でも少し触れましたが労働基準法が改正されたことによって、
2023年4月1日より、中小企業を対象に月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が25%から50%に引き上げられました。

これまでは大企業のみが50%の割増賃金を支払うように定められており、中小企業は25%のままとする猶予期間でした。

しかし、2019年に施行された働き方改革法案の成立によって、
この猶予期間が廃止となり中小企業にも50%以上の割増賃金の支払い義務が生じました。
よって残業時間増加はさらなる経営圧迫へとつながるのです。

 

サービス残業をなくす方法自体は簡単で、正規の残業代を支払うことで解決します。
しかし、割増賃金の増加もあり、人件費ばかりが嵩んでいくと経営に支障が出てきてしまいます。

介護事業者には、利用者へ提供するサービスの質を落とすことなく、
スタッフの業務負担を削減していくような取り組みが必要です。

介護の専門職や介護助手といった役割ごとに業務分担をしっかりと行うだけでなく、
書類の電子化やロボットなどを活用しながら業務の効率化を図るなどをして、
現在の業務内容に組み込めることから始めてみてはいかがでしょうか。

 

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