歯科医院での【モニター募集】を行う際のポイントとは?

歯科医院での【モニター募集】を行う際のポイントとは?

2023年5月4日

歯科医院では、歯科矯正や審美歯科治療のモニターを募集していることがあります。
これは、クリニック側の提示した条件を満たす患者に対して、モニター価格で施術を提供する制度のことです。
採用されるための条件は、アンケートの回答や口コミの投稿、症例写真や動画の利用が一般的とされています。

 

患者とクリニックそれぞれにメリットのあるモニターですが、近年はこれらのモニター募集を発端としたトラブルも起こっています。

そこで今回は、クリニックが歯科治療のモニターを募集するにあたってのメリットとリスク、注意すべき点について紹介していきます。

 

モニターへの治療を行うメリット

 

歯科矯正(ワイヤー矯正・裏側矯正・マウスピース矯正など)や審美歯科治療のモニター募集は、
現在多くのクリニックで行われています。患者は、モニターに採用されれば、割引価格や無料で施術を受けることが可能です。

施術を安価で受けられることは患者にとって大きなメリットではありますが、
モニター治療の場合は、基本的には歯科医の組んだスケジュール通りに通院することが求められるため、
通常に比べても比較的スムーズに治療を進めることが可能になります。

そのため、金銭的なメリット以外にも自分で予定をたてて予約を取るのが苦手な人や、
短期間で通院を終えたい人にもモニターで治療するのはメリットと言えるでしょう。

 

もちろん、クリニック側にもメリットが多く存在します。

まずは、症例写真や動画をクリニックの成果として利用できるということです。
患者の治療前後や治療過程の口腔内の撮影をモニターの採用条件として決めておけば、
これらをHPやパンフレットで症例として紹介することができるようになります。

広告だけでなく、学会や学術誌に資料として発表することも可能でしょう。
クリニックによっては写真のみならず、治療過程の動画撮影や簡単なインタビューを行うケースもあり、
クリニックのYoutubeチャンネルでの訴求や、自院のスタッフ研修、患者への症例説明などに使用することもあります。

症例写真等を使用する際には、プライバシー保護の観点から顔全体や氏名は出さないのが基本です。
使用時に出す必要がある場合には、必ず許諾を取るようにしましょう。

 

また、モニターの患者にアンケートや口コミの投稿を依頼できるのもメリットの1つです。
患者の生の声を拾うことができるアンケートは、接遇やサービス改善に利用できるほか、
モニター募集時の条件で掲載する旨を提示している場合にはHPやパンフレットなどで使用することも可能です。

口コミサイトやSNS、自院のHPへのレビュー投稿が増えれば、
クリニックのPRへとつながり、集患効果も期待できるでしょう。

 

口コミやアンケートをとる際に注意すべきことは、評価の誘導を行わないことです。

クリニック側が故意に評価を誘導することは評価の捏造にあたり、クリニックの信用を失う行為です。
近年はSNS等でこれらが表面化する事態も多くみられています。モニター患者の体験談や感想はあくまでも患者自身に内容を任せることが重要です。

 

実際に起こったモニタートラブルの事例

 

歯科医院におけるモニター治療は患者とクリニック双方にメリットのあるものです。
しかし、トラブルに発展しかねないことにも注意して募集を行わなくてはなりません。

 

2022年に、ある医療法人で歯科矯正モニター制度をめぐってトラブルが発生していたことが明らかになりました。
この医療法人では、マウスピース矯正のモニターを募集し、
宣伝に協力した患者へは治療費を返金することで実質0円で矯正ができると謳っていました。

しかし、返金のための資金繰りがうまくいかなくなり、患者への返金がストップしてしまったのです。
さらに、矯正を行なったことで噛み合わせが悪くなったなどの健康被害を訴える患者や、
治療費のローンを組むために申告内容の偽装をするよう指示された患者もいたことがわかりました。

 

こうした被害を含めた被害者はのべ1,500人を超え、被害総額は20億円以上といわれています。
2023年1月には、患者約150名が医療法人の幹部や医師らに対して約2億円の損害賠償を求める集団訴訟を起こしました。

詐欺や特定商取引法違反の疑いもあるため、刑事訴訟も視野に入れながら実体の解明が進められているところです。

 

上記の事例では、健康被害を訴えていることからも、モニターへ適切な施術や説明が行われていなかったのではないかと考えられます。
今回行われたマウスピース矯正は、術後に噛み合わせが悪くなったり、顎に痛みが出てきたりといったリスクもある治療法です。
クリニック側は事前にしっかりと説明責任を果たさなくてはなりません。

また、たとえモニター患者であっても、
通常の患者と同様にメリットやリスクを説明した上で適切な治療法を選択しなくてはなりません。

 

モニター募集を検討する際には、まずさまざまなシチュエーションを想定した規約の作成をしておく必要があります。
万が一途中で治療を中断せざるをえないケースなども想定して規約を作成しましょう。

モニターに採用した患者に対してはこれらの規約や治療中断の条件などを細かく説明し、
同意を得た上で承諾書に署名をもらうなどし、確認には確認を何重にも徹底していくことが大切です。

 

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