歯科衛生士の仕事の境界線、収入を増やすには?
2022年6月23日
歯科医院には、歯科医師“以外”にも歯科衛生士や歯科助手といった医療従事者がおり、
それぞれ資格もさまざまです。その中の1つである歯科衛生士は、
歯科衛生士法に基づいた国家資格であり、行える業務の範囲も定められています。
つまり歯科衛生士に歯科医師の業務をさせたり、
受付などの歯科助手に歯科衛生士の業務をさせることは法に反する行為なのです。
そこで今回は、歯科衛生士や歯科助手などのパラメディカルスタッフに担当させて良い
業務範囲について解説します。
歯科衛生士が従事できる3つの業務
歯科生士の衛主な業務は【歯科予防処置】【歯科保健指導】【歯科診療補助】の3つです。
歯科予防処置:患者の歯や歯茎の状態を確認してフッ素化合物などの薬物を塗布したり、
歯垢や歯石を除去したりといった虫歯や歯周病を予防するための処置を指します。
歯科保健指導:虫歯や歯周病を予防するために行われる、歯磨きや食生活の指導を指します。
幼稚園や小学校、老人介護施設などで指導するもの歯科衛生士の仕事です。
保健所や保健センターで地域住民の歯科予防相談や集団指導、
口腔診査などの業務に携わることも可能です。
歯科診療補助:歯科医師の診療の補助を行う業務、
クリニックに勤務している歯科衛生士であればここがメインの仕事になります。
この業務では、歯科医師の指示監督のもと診察や治療の一部を行うことになりますが、
すべての歯科医療行為を行えるわけではありません。
また、よく間違えられやすいのは歯科衛生士と歯科助手です。
歯科助手とはクリニックのアシスタントのような役割ですが、
受付などの事務や、器具の消毒・清掃などの雑務を担当します。
国家資格でもないため、歯科医療行為をまかせることもありません。
【絶対的歯科医行為】と【相対的歯科医行為】の違い
歯科医療行為には、絶対的歯科医行為と相対的歯科医行為の2つがあります。
このうち、歯科医師のみ行うことができるのが絶対的歯科医行為です。
抜歯、神経を抜く、歯を削り歯茎を切る、詰め物を詰め被せ物を装着、注射での麻酔、
レントゲン撮影などが主な絶対的歯科医行為です。
これらを歯科衛生士や歯科助手に行わせた場合、
罰せられるだけでなく資格の剥奪や業務停止などにもつながるので注意しましょう。
一方の相対的歯科医行為は、歯石除去やホワイトニング、
仮歯の調整・仮着、表面麻酔薬の塗布、歯周組織検査などです。
これらは歯科医師の監督下であれば歯科衛生士も行ってよいことになっています。
難しいことに、注射による麻酔は歯科医師のみですが、
表面麻酔は歯科衛生士も行うことができます。
レントゲンの撮影は歯科医師が行いますが、準備や患者への説明は相対的歯科医行為なのです。
この境界線は、内容によっては明確でない場合があり、
現場の裁量に任されている部分も決して少なくはありません。
しかし、相対的歯科医行為の業務であっても歯科衛生士の判断で行ってはならず、
歯科医師の監督下で行うというのは必ず守らなければなりません。
さらに、相対的歯科医行為であっても、
難易度の高いものはある程度の経験を積んだ歯科衛生士でなくてはできません。
歯科医師は常に歯科衛生士とのコミュニケーションをとりながら、
知識や経験、技能にあわせた治療を任せていく必要があります。
そしてスタッフそれぞれが自身の医療スキルを最大限に発揮し、
チームで協力していくことが最も大切です。
歯科衛生士法は改正される可能性もあるため、
逐次歯科衛生士会や厚生労働省などの情報をチェックしておきましょう。