一人親方が法人化する際に抑えておきたいポイントとは?

一人親方が法人化する際に抑えておきたいポイントとは?

2023年2月16日

労働者を雇用せず、自分のみもしくは家族で事業を営む一人親方。
会社に縛られることもなく、自由な働き方ができるのが魅力ですが、
事業の拡大や増益を見据えて法人化を検討している人も多いのではないでしょうか。

建設業における会社の設立、いわゆる『法人成り』は一般的な個人事業主の法人化に共通する部分と、そうでない部分がありあます。

そこで今回は、一人親方が法人化する際のメリットやデメリット、気をつけるべきポイントなどを紹介します。

 

法人化するメリット

 

一人親方は自身の裁量で仕事を進められ、交渉によっては高単価で仕事を請け負うことも可能です。
しかし建設業においては、大手企業が一人親方と直接取引をすることは少なく、
ほとんどの場合は間に大手から仕事を請け負った中堅の建設会社が入ることになります。
一人親方はあくまで個人事業主なので、大手企業とは取引がしづらいのです。

 

現在の仕事量や受注内容のまま、個人事業主として事業を継続していくのであれば、現状維持でも問題ありません。
しかし将来的に事業規模を拡大したいのであれば、法人化によるメリットを享受できる可能性があります。

 

※一人親方の法人化は、個人事業主として仕事をしていた人が会社を設立して、これまでの仕事を引き継ぐことを意味しています。
そのため、一般企業の従業員が独立して新規開業するのとは区別しましょう。

 

一人親方が法人化を行うメリットの1つは、社会的な信用が高くなることです。
規模の大小はあれど、立場上は大企業と同じ法人となります。
そのため、これまでは取引できなかった企業とも取引ができる可能性があります。

また社会的信用が高くなることで、銀行などの金融機関から融資を受けやすくなるので、
これまで以上に資金調達がしやすくなる可能性があります。

これに加えて、法人化により税制面の優遇措置が受けられるというメリットもあります。
法人化すると、自身の給与は法人から支払われることになるため、これを経費として所得から差し引くことができます。

このほかにも、経費の幅が広がったり、欠損金の繰越ができるようになったりといった優遇措置もあります。

 

デメリットと注意点も忘れずに

 

一方で、法人化のデメリットとしては、法人税の納付が発生する、社会保険料の負担が高額になる、経理事務が煩雑になるなどがまず挙げられます。
社会保険料に関しては、健康保険と同時に厚生年金への加入が義務化されているために負担額が増えていますが、
将来的に受け取る年金の額が増えるという側面も持っています。
※建設国保に継続加入し、健康保険に除外認定を受ける方法もあります。
詳しくは建設国保にお問い合わせください。

 

注意しなくてはならないのは労災保険です。

これに関しては一般の法人化とは事情が異なります。

 

まず、【一人親方】という呼称は建設業の他にも林業や漁業従事者、個人タクシー運転手などに限られ、一般的な個人事業主とは区別されます。
これら一人親方は、業務の実情や災害の発生状況を鑑みて、労災保険への特別加入制度が設けられているのです。
そのため、法人化せずとも労災保険が適用されます。

また、もし法人化したとしても今まで通り自分1人や家族が従業員として事業を行っている場合には、
特別加入制度は継続して利用することが可能です。

しかし、1人でも労働者を雇用すると、特別加入者としての要件を満たさなくなり、
中小企業の特別加入制度を利用して労災保険に入り直す必要があるのです。

 

さらに、建設業の一人親方が法人化する場合には、個人事業主のときに取得した建設業許可を法人として継承する手続きが必要です。

以前は継承できずに新規取得が必要でしたが、2020年の建設業法改正によって許可は法人に引き継げるようになりました。
これによって、空白期間を生じさせることなく、許可の必要な仕事を請け負うことが可能になります。
ただし、継承の認可申請には、役員や専任技術者の常勤などいくつかの要件があるので、内容を確認しておきましょう。

 

法人化にはメリットも多いですが、会社設立のための費用や時間がかかったり、事務負担が増加したりと大変な作業も多いです。

法人化が本当に必要かどうかをよく検討した上で判断していきましょう。

 

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