節税効果大!の優遇税制「社会保険診療報酬の所得計算の特例」措置法26条の活用

節税効果大!の優遇税制「社会保険診療報酬の所得計算の特例」措置法26条の活用

2021年6月17日

節税効果大!の優遇税制「社会保険診療報酬の所得計算の特例」

 

開業している歯科医師であれば「社会保険診療報酬の所得計算の特例」はぜひ利用したい制度です。
開業医の経営安定と医療の安定供給を目的とした制度で、
適用できれば大多数の医院にとって有益な節税対策となります。

 

節税効率の高い「優遇税制」

事業所得のうち、課税の対象となるのは「収入-経費」の額ですが、医師と歯科医師であれば、
「社会保険診療報酬の所得計算の特例」(租税特別措置法第26条)により、
収入額によって4段階に決められた割合を経費に掛けて計上することができます。

たいていは特例で規定された割合で算出した概算経費のほうが金額が大きくなるので、
これが事業所得の圧縮になり所得税や法人税を抑えられるというわけです。

細かい適用条件を見ていきましょう。

この特例を受ける条件は

・歯科医業または医業から生じる事業所得の総収入金額が7,000万円以下で、
なおかつ社会保険診療報酬が年間5,000万円以下の場合

に限られます。

社会保険診療報酬の金額によって、以下を概算経費として計上することができます。

2,500万円以下……社会保険診療報酬の72%

2,500万円超~3,000万円以下……社会保険診療報酬の70%+50万円

3,000万円超~4,000万円以下……社会保険診療報酬の62%+290万円

4,000万円超~5,000万円以下……社会保険診療報酬の57%+490万円

 

例)1年間の社会保険診療報酬が2,700万円で、実際の経費が1,000万円だった場合

(ここではわかりやすく自由診療収入に関しては考えないものとします)。

通常の計算は

2,700万円(社会保険診療報酬)-1,000万円(経費分)で1,700万円が青色申告ではない場合、課税対象の事業所得となります。

しかし、特例を使い上記の表に照らし合わせてみると、
2,700万円の70%→1,890万円に50万円を加えた1,940万円が経費にできるというわけです。
この計算では、課税対象の事業所得は760万円となります。

特例の適用を受けた場合の事業所得は、通常の場合より940万円低くなりました。
事業所得が低いほど節税効果は高くなるため、特に開業したての医師や歯科医師であれば特例を使わない手はありません。

ただし、社会保険診療報酬が5,000万円を超えてしまった場合には、
この特例の適用を受けることはできません。

たとえば、社会保険診療報酬が4,900万円と5,100万円で、
さらに実際の経費がどちらも2,000万円だったとすると、4,900万円の開業医は、
概算経費が3,283万円で事業所得が1,617万円となります。

しかし、社会保険診療報酬が5,100万円の開業医は、
概算経費ではなく実際の経費が2,000万円なので、
事業所得は3,100万円と、たった200万円の収入差で、2倍近い所得に対して課税されてしまいます。

つまり、医業や歯科医業にとっては社会保険診療報酬が5,000万円を超えるかどうかが大きな分かれ目となります。

一方で、実際にかかった経費が、決められた割合で算出した経費を上回った場合には、
実際にかかった経費で計算することができます。
その場合は報酬額が5,000万円を超えているかどうか細かく気にする必要はないでしょう。

 

社会保険診療報酬と自由診療収入がある場合

さて、この特例が適用されるのは、あくまで社会保険診療報酬の額が5,000万円以下の場合のみです。

もし、年間の総収入金額が社会保険診療報酬と自由診療収入で成り立っている場合は、
経費は社会保険診療と自由診療それぞれにかかる固有経費と共通経費に分け、
それぞれの収入の割合に応じて按分し、一定の調整率を掛けた額を自由診療収入の経費とすることが認められています。

※社会保険診療報酬と認められる範囲

健康保険法や国民健康保険法、国家公務員共済組合法や地方公務員等共済組合法、
生活保護法や介護保険法などに基づいた給付や医療のことで、患者の自己負担分に関しても範囲に含まれる。

自由診療収入に関しては、自費診療や歯科ドッグ、保険証を持参しない場合の診療などの保険外診療が該当。
歯ブラシやデンタルフロスなどの販売による売上は社会保険診療報酬でも自由診療収入でもなく、雑収入となるので注意が必要。

以上のように、社会保険診療報酬の所得計算の特例は、かなり有利な税制になっています。
ただ、適用対象となるには、年間の社会保険診療報酬が5,000万円以下であることが条件です。

つまり、年末になるまで自院の収入が5,000万円を超えるかわからない場合は、
念のため別の節税対策の準備も必要です。
また、歯科医院によっては実際の経費のほうが高くなることもありますので、慎重に計算してみることが大切です。

会社の番頭さんでは、措置法が適用になる医院については、月額15,000円で経理代行をさせていただいておりますので、
出費を抑えたい方はぜひご連絡ください。

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